顎関節症の原因と症状

顎から痛みや謎の音が?
現代人の病「顎関節症」の原因・症状と予防方法について

顎関節症は20代から30代の女性に多く見られる、歯科の3大疾患のひとつです。顎関節症の症状や原因、予防法について解説します。

はじめに

顎(あご)が動かしづらいなと感じたり、口を開け閉めしたときに何やら音がする…
そんな症状があればもしかしたら顎関節症(がくかんせつしょう)かもしれません。

この病気は20~30年ほど前まではほとんど見かけない病気でしたが、ここ10数年で先進国を中心に世界的に急増している現代病ともいわれる病気です。

日本でのその人数は人口の20%近くといわれ、特に20~30代の女性に多くみられ、虫歯や歯周病と並ぶ歯科の3大疾患のひとつに挙げられるほどになってきているのです。

今回は顎関節症の原因や症状、そして予防法を見ていきましょう。

顎関節症ってどんな病気?

顎関節症の代表的な症状は、顎の関節やその周辺の筋肉に痛みが出たり、顎が動かしにくく、口を大きく開ける事が出来なくなったり、口を開け閉めする時にカクンとか、シャリシャリと音がするといったものがあります。

この症状は左右のどちらかだけにあらわれる場合が多いです。

さらに、食べ物がよく噛めなくなったり、首や肩がこったり、頭痛、めまい、耳鳴り、手足のしびれなどを引き起こすことにつながることもあります。気付きにくかったり、慢性化して治りにくく、様々な症状が出てきてしまうのです。

顎関節症のチェックリスト

以下のような症状があるときは注意しましょう!

・口を大きく開けたとき、左右で開けにくい顎がある

・鏡を見て顎を大きくゆっくり開けてから閉じたとき、顎が左右に揺れている

・顎を開けたり閉じたりする時にカクッ、ピキッとしたような音がする

・鏡を見て大きく舌を出したとき、舌がまっすぐ出ていない

・するめやタコなど硬いものを食べたとき、あごが痛む

・耳の穴の中に指を入れて顎を開閉したとき、痛みを感じる

・朝起きた時に顎がスムーズに開かない

質問の答えに「はい」と当てはまる数が多いほど、顎関節症になっている可能性があると考えられます。

顎関節症の原因

顎関節症は、噛み合わせの悪さ、歯ぎしり、くいしばりなどよるものが原因となり、顎関節や周囲の筋肉へ負担がかかるため起こるものと考えられています。

噛みしめは自覚がない場合も多く、仕事やスポーツなどに熱中しているとき、考え事をしているときに、無意識に1秒ほどの短いリズムで繰り返し歯を噛みしめてしまっているケースが多くあります。

精神的ストレスや緊張で、無意識に顎を噛み締めてしまっている癖も原因になります。

常に緊張が続いているような仕事や、コンピューター作業、精密作業をしている人、また、歌を歌ったり楽器の演奏などによってあごを酷使するようなことを続けている人にも多いとされています。

親知らずやむし歯があってもちゃんと治療せず、痛くない方の歯で噛み続けるような悪い癖がついたりすると、顎関節症になりやすくなります。

他に、頬杖、片方の顎だけでの噛み癖、ガムや固い食物をよく食べる、爪かみ癖、うつぶせ寝、スマホなどを長時間操作して姿勢を悪くしたり、自分に合ってない固い枕の使用なども原因になります。

また、顎関節症と首のゆがみは深い関係があり、そのために肩こりなどをも引き起こしてしまうのです。骨盤のゆがみ・背骨のゆがみなども関係しているといわれています。

顎関節症の予防・対策

対策としては、顎の左右を同じように使っていないことが原因なのでそれを意識的に改善しましょう。

・食事のときは意識的に左右の歯で同時に噛むようにする

・横を向きながらテレビを見るなどせすに、顔をまっすぐに向いて食事をするようにする

・噛み合わせに問題があったり、放っておいた悪い歯があるのならしっかり治療を受ける

・頬杖をついたり、ガムなど固い物を噛みすぎない

・寝るときの枕は固すぎないもの、高すぎないものを選び、うつ伏せで寝ることはやめる

・大きく口を開けたり、長時間会話はなるべく控え、電話をする時に受話器を肩と顔で挟む癖のある人はやめる

物を食べる時以外は、上下の歯を接触させずに若干離しておくことを意識しておきましょう。

姿勢の悪さも影響するので、整体などを受けたり、体操をして体が固まらないように心がけるのもよいです。

さいごに

顎関節症は、軽い症状なら自然に治ってしまう事もあります。

顎関節は、耳のすぐ隣にあるのでその音が気になるという人が多いですが、この音を消すためには手術が必要なこともありますが、音だけの症状であったり、一時的に痛みや口の開けにくさを感じる程度なら手術の必要はないとされています。

音だけの症状をもつ人は5人に1人はいるとされており、実際に治療が必要になるほどの人は自覚をもつ人の中でも5%程度とされています。

しかし、放っておくと次第に症状が悪化して口が開けられなくなったり、食べ物がうまく食べられなくなったり、そのほかの悪影響を及ぼしたりすることもあります。

自分の症状について気になる人は、歯科や口腔外科を受診して相談しましょう。

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